はじめに
あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
前回の投稿からかなり時間が経ってしまいましたが、その間何をしていたかというと、暮しの手帖5世紀15号に「猪谷さんの靴下のその後」が載っていることをたまたま見つけたために、暮しの手帖とにらめっこしながら、猪谷さんの靴下の編み方を解読していました。
暮しの手帖 5世紀15号
わたしの知る限り、猪谷さんの靴下の編み方が載っている暮しの手帖は、過去に2回出版されているようです。
いずれもプレミアがついており、なかなか手に入らない状況だったので、わたしは1~2年前に割と離れた市町村の図書館から該当の号を取り寄せたことがあります。
が、その時はのっけから訳がわからず頓挫したところでした。
以前にご紹介した猪谷さんの靴下は、トウアップ(つま先から編む靴下)でしたし、レシピが24.0cmの方向けだったので適当に目数を増やしたものです(わたしの足のサイズは25.5cmです、下記編んだ時は25.0cmだと思ってたけど)。
いろんなサイズが編めるようになりたかったので、今回改めて、猪谷さんの靴下の編み方を「解読」してみることにしました。
トウアップの猪谷さんの靴下をご紹介いただいている「SOCKAHOLICな毎日」さんは下記です。
わたしの過去作は下記。
この記事について
ここから順々に、数々の試作品と数々の失敗を羅列していく章に入ります。
が、「コツだけ見たい、ここがよくわからなかった」という方もいらっしゃるかと思いますので、そういう方は後半部分の「まとめ」以降をお読みください。
方向性
いくつか試作品を編んでいる中で考えましたが、足のサイズ、針の号数、厚く編むか薄く編むかを指定すれば、たちどころに目数段数が計算されるエクセルを作ることにしました(猪谷さんの靴下は、針の号数と、厚く編むか薄く編むかの選択によって糸が何本取りかが変わります)。
……いや、だって書籍をめくりまくって編み進めるのめんd……大変だし。
1足目を編んでいる最中、本をめくりすぎて、実用・布教用・保存用の3冊買っておくべきかと悩んだくらいだったので、もうわたしの中ではエクセルを作ることは確定していました。
また、うちには以前に200のお花モチーフを編んだときに、大量に買い込んだマンセル(ユザワヤのPB)のメリノクイーンが大量に眠っているので、それを使って編むことにしました。
恐ろしすぎて数えてないけど、多分一番使う1023番色、50玉くらいは在庫してるんじゃないかな……。
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1足目
目的
友人(男性)のための、26.5cmの靴下を編むための試作品として始まりました。
材料
- マンセル メリノクイーン 1036(深緑、2本取りにした箇所もあり)、1028(くすんだ緑)、1022(生成り)
- パピー ニュー2PLY 251
所感
まずのっけからつまずく。目数45目で始めたんですよ。
でも編み始めが1目ゴム編みって書いてあるんです。
もうしょうがないよね。早々に2目表、1目裏のゴム編みに変更。
余談なんですが、履き口のゴム編みの向きを考えると、なんとなーくトップダウンよりボトムアップの靴下の方が好きなんですよね。トップダウンから編むと、編み目が逆向くじゃないですか。
反省点
これ、すごい単純なミスなんですが、端から○○cm編んでから次の工程に入るっていうの、靴下編みだとよくあるじゃないですか。
わたしあろうことかここを間違えたんですよ。具体的に言うと、
- 正: 編地の端から針にかかった目の端(上の方)まで
- 誤: 編地の端から針までの長さ
なんでいつもの通りやらなかったんだ!
お陰で、実際に編むべき長さよりも長く編んでしまったがために、旦那(足のサイズ26.5cm)に試しで履いてもらったときに、妙につま先が余ってしまいました。
あとですね、この時点ではメリヤスはぎのことがよく理解できておらず、なんとなく「暮しの手帖」を見ながらやってみたので、爪先がぐっちゃぐちゃです。2足目で理解し、3足目で克服しました。
あと、1足目を編み終わった時点では気づいていませんが、つま先をメリヤスはぎする前に、本来はもっと段数を編んで、目数を減らしておかないといけなかったのですが、それよりもっと前の段階ではいでしまっているので、つま先がちょっと短いです。
それをさし置いてなお、つま先が余っているという不思議現象が起こってはいますが……。
メモ
- 使用糸1:マンセル メリノクイーン 1036(深緑、2本取りにした箇所もあり)、1028(くすんだ緑)、1022(生成り)
- 使用糸2:パピー ニュー2PLY 251
- 目数45目、5号針で薄く編むレシピ。が、長さの測り方とつま先の目数を間違える。
- 編み始めの1目ゴム編みを、2目表、1目裏のゴム編みに変更。
- 片足で71.6g。
2足目
目的
前回の反省を踏まえ、
- 長さを正確に測る
- メリヤスはぎをがんばる
を目標にしました。小学生でしょうか。
材料
前回同様。
- マンセル メリノクイーン 1036(深緑、2本取りにした箇所もあり)、1028(くすんだ緑)、1022(生成り)
- パピー ニュー2PLY 251
所感
まず、目標の「長さを正確に測る」については、まあできたんじゃないかと。
ただ、出来上がりのサイズが明らかに26.5cmではない。25.5cmのわたしにぴったりくらいなのではないかと思いました。
猪谷さんの靴下は5つの表を見比べながら作っていくスタイルなのですが、「足の長さ」の測り方が一般的なJIS規格と異なるようで、ただわたしの貧弱な脳では具体的に足のどこをどう測ればいいのかの理解が及ばなかったのもあり(本文中、『「足の長さ」は踵の後部、やや上方の突き出しているところから指先までを測ります』となっているところがわたしには理解できなかった)、どの目数を採用していいかがまず迷いどころなんですよね……。
「まとめ」項にも書きますが、恐らく「足の長さ」=JISで言うところの足長、なのではないかと今は思っています。
と考えると、この目数だと足の長さ244mmになるので、26.5cmの人にあげるには小さいよね、ということで没に。
反省点
つま先をメリヤスはぎする前の目数は、相変わらず間違えています。
懸案のメリヤスはぎですが、色々と動画を調べたり本を見たりした結果、ようやっと理解できました(「まとめ」項に後述します)。
動きはわかったので、次はもう少し糸を強めに引いた方が良いなと思いました。
メモ
- 使用糸1:マンセル メリノクイーン 1036(深緑、2本取りにした箇所もあり)、1028(くすんだ緑)、1022(生成り)
使用糸2:パピー ニュー2PLY 251 - 目数45目、5号針で薄く編むレシピ。が、つま先の目数を間違える。
- 編み始めの1目ゴム編みを、2目表、1目裏のゴム編みに変更。
- 片足で68.9g。
3足目
目的
2足目でようやく自分サイズ(っぽい)靴下が(図らずとも)できたので、その片割れを作ろうとしました。
材料
前回、前々回同様。
- マンセル メリノクイーン 1036(深緑、2本取りにした箇所もあり)、1028(くすんだ緑)、1022(生成り)
- パピー ニュー2PLY 251
が、この後悲劇が起こります。
反省
糸が全然足りない。よって没になりました。
もしかしたらそのうちほどいて別のものに使うかもしれない。
考えてみたら、前回の靴下で片方68.9gなので、極細毛糸の重量はごくごくわずかなので考えないにしても、1玉30gのメリノクイーンを片足だけで2玉以上使っているわけですよね。とんでもないコスパの靴下ですよね。いや、毛糸の在庫が罪庫と化しているので全然いいんですけど……。
猪谷さんの靴下、想像以上に糸を使うので、思ったより多めに準備された方がいいですよ……。
4足目
目的
1回くらい5号以外のレシピで編んでみようと思ったのと、半端な残り毛糸の消費が目的です。
今回は、6号の「柔ラカク編ム時」のレシピで編んでみました。
材料
メリノクイーン各種。本来極細毛糸を入れるところも、メリノクイーンを押し込みました。
写真は途中くらいまで編んだところで、半端な毛糸とともに撮ったもの。もちろん映っている毛糸の全てを使い切ったわけではないです。
また、今回は本来極細毛糸を入れて編むようなところにも、中細のメリノクイーンを使用しました。
所感
我ながらすんごい色使いだなぁ……!
フェリシモの200のお花モチーフをメリノクイーンで編んだ際に、よく使う色の毛糸は2本取りになるように糸巻き器で巻いておいていたんですね。
その巻き終わった2本取りの糸がまだ残っていたので、その毛糸をメインで組み立てました。
実際、猪谷さんの靴下で半端な糸を消費しようという方もいらっしゃると思いますが、あまりに残り糸が短いと、裏側がこういうことになるので、考えた方がいいですよ……。
糸始末が本当に大変でした。箱根駅伝を見ながら延々とやっていた。
ただ、いろんな糸を使ってみてわかったのが、白系を使わないで編むと編地がぐんと面白くなるような気がします。
白って配色の中に入っていると落ち着くけど、派手さは出ませんよね。
あと、やっぱり6号で編むと、最大の糸の数が中細6本分になるので、なかなか固くて編むのがしんどいですね。次からはやっぱり5号に戻そう。
反省
つま先の目数は相変わらず間違えています。
が、メリヤスはぎについてはつかんだ感。
水通しをしていないので何とも言えないのですが、つま先の目数が合ってさえいれば、なかなか丁度いいサイズに編めたのではないでしょうか。
メモ
- 使用糸:マンセル メリノクイーン 多数。
- 目数42目、足の長さ250mmで、6号針で薄く編むレシピ。が、つま先の目数を間違える。
- 片足で96.3g。
5足目
目的
もうそろそろ自分のサイズをちゃんと作ろう。
あと、今まで様々な色の取り合わせの靴下を作ってみたけど単色のみで作ったらどうなるだろうか。
そんな好奇心で作ってみました。
材料
マンセル メリノクイーン 1023。うちに数十玉在庫しているもの。
猪谷さんの靴下って、本当に思った以上に毛糸を使用するので、絶対に足りなくならなさそうなものを選びました。
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所感
単色のみで編んだ靴下もいいですね。
ただ、猪谷さんの靴下特有の増やし目・減らし目に関しては、単色の方がより目立つ気がします。これは好みによるものだと思います。わたしは嫌いではないです。
また、今回は極細毛糸を使用せず、極細毛糸を使うところも中細のメリノクイーンを使用しました。
履いた感じ、そこまで違和感というか違いは感じないですね。
反省
まだ気づいてないけど、まだ爪先の目数を間違っているんだ……!
爪先の目数を減らしそこなっているのに気がつくのは、次の6足目からです。
あと、大分サイズが小さいかも。今回は5号の「柔ラカク編ム時」で全体を44目にしたので、次はサイズを上げてもいいかもと思いました。が、いずれにせよつま先の目数が間違っているので、なんともいえんのが正直なところ。
メモ
- 使用糸:マンセル メリノクイーン 1023。
- 目数44目、足の長さ239mmで、5号針で薄く編むレシピ。が、つま先の目数を間違える。
- 片足で68.3g。
6足目(両足ともに完成)
目的
もう……!
そろそろ……!
決着をつけようぜ……!
材料
マンセル メリノクイーン 1072(右)と、パピー ニュー2PLY 217(左)です。
ぱっと見、結構色が違うように見えますが、一緒に編んでしまえばそこまで目立ちません。というか、全然色の違いがわかりません。
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所感
いつまでも足のサイズが定まらず右往左往しているので、今回は「足の長さ」=「JISでいうところの足長」と決め打ちし、足の長さ255mmのレシピで、5号で「柔ラカク編ム時」のレシピで編みました。
実際、暮しの手帖には足の長さ255mmで5号のレシピは載っていないのですが、今までに靴下を編みながら、同時並行で個人用の猪谷さんの靴下の目数計算用のエクセルファイルも作成していて、大まかな機構や法則も理解し、エクセル作成作業も大詰めになってきていたので、わからない部分は決め打ちで作っちゃいました。
また、つま先の減らし目の目数がずっと間違えていたことに気付いたので、そこも今回ようやく修正です。長かった。ていうか気付くの遅いよ……。
これにより、つま先が丸っとした靴下が出来上がりました。
片方でうまいこといったので、同じ編み方でもう片方も編みました。
できた!
糸も足りた!
わーい!
メモ
- 使用糸:マンセル メリノクイーン 1072、パピー ニュー2PLY 217。
- 目数47目、足の長さ255mmで、5号針で薄く編むレシピ。本にないところはちょいちょい捏造。
- 両足で152.4g。
まとめ
これ以降、上記の靴下の試作から学んだ点を共有します。
猪谷さんや暮しの手帖社様の見解と異なる可能性もありますが、あくまで個人的な見解としてご覧ください。
サイズと目数について
基本的には表①の一番上、第一欄の「足の長さ」が、JIS規格でいうところの「足長」に該当すると思われます。
現在6足目の靴下を水通ししたものを履いているのですが、少しゆるく感じます。
これから洗濯の度に縮んでいくでしょう。
猪谷さんの時代から毛糸の質も変わってきているでしょうから、もしかしたら猪谷さんのレシピだと少し縮みが甘いのかもしれません。
メリノクイーンにパピー2Plyの組み合わせでどれくらい縮んでいくかはわかりませんが、しばらくしたらまたご報告させていただきます。
道具について
5~8号の5本針と、かかと用に目を休めておくための針が2本、かぎ針、とじ針、ハサミが必要です。
段数マーカーも一つあると便利だと思います。
5本針
まず、5本針の号数のおすすめは5号です。
猪谷さんの靴下では、針の号数を何号にするかと、厚く編むときと薄く編むときで糸の本数が変わりますが、6号で「柔ラカク編ム時」の糸の本数は、踵部分で最大の本数を迎え、中細6本になります。これだけの太さの糸を、6号という決して太くはない針できつめに編んでいくので、まあ力づくですし、何より6本のうち1本でも落としたり割ったりすると修正が割と大変なので、6号以降の針で編むのは、個人的にはあまり勧められません。
また、5本針の長さですが、14.5~15cmくらいが適当かと思われます。
たまに10cmや12cmくらいの5号針も存在していますが、猪谷さんの靴下は5号針で薄く編む場合でも、中細毛糸が最大で4本になるので、そこそこ目が大きいです。そうすると、あまり短い針だと目が落ちてしまう懸念があります。短い針で編まれる方、特に作り目の時は要注意です。
だかといって、20cmくらいの針だと、長すぎて持て余すような気がしました。
わたしは14.5cmの、ハマナカのくつした針で編んでいましたが、丁度いい長さだと思いました。作り目も40数目、14.5cmの針で頑張りました。1目目を針の奥側に寄せておけば、50目近くでも行ける気がします。
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かかと用に目を休めておくための針
これは2本必要です。
おすすめはミニ輪針2本。20cmとか23cmとかのものです。40cmだと若干長さを持て余す気もしますが、まあいけると思います。
また太さですが、5本針と同じか、またはそれより細い号数の針が良いと思います。極端な話、0号や1号でもいいと思います。
最初はなわ編み針を持ち出して目を休めていましたが、やはり目が大きいせいもあり、なわ編み針の中央の凹んだ部分に目が収まりきらず、10目程度であっても逆側から目が外れていってしまいました。
また、5本針 + 休める針2本 = 7本の針が同時に存在するかかという難所において、棒針やなわ編み針などのまっすぐな針は、作業上支障が大きいです。つまるところすげー邪魔です。
それに比べると、ミニ輪針に目を移し、コードの部分に目を休めておけば、少なくとも棒が増えることによる煩雑さは防げます。ミニ輪針の両端は編地に刺して休めておけば良いので、針が2本増えたことによるストレスは大分減ります。
また、5本針と同じか細い号数の針をお勧めしているのは、下記の理由です。
- 本当にこの針は目を休める用の針で、この針を使って編む(=この針を右手に持って目を作る)作業は発生しない
- 5本針から目を移す際に、4本なり6本なりのうち1本でも落とすとリカバリーが大変なので、元から細い針を手元に持っておいて、リカバリーしやすくしておく
わたしはコードの柔らかさからSheeplさんのミニ輪針1号に落ち着きましたが、コードが硬すぎなければどんなミニ輪針でも大丈夫だと思います。
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かぎ針
わたしは靴下編み全般でかぎ針の5号を愛用していますが、今回もこれでいけました。
ただ、今回は5号と6号の「柔ラカク編ム時」のレシピ(踵の糸の本数がそれぞれ中細4本と6本)だったので、これより糸の本数が増えると、5号では厳しいかもしれません。ただし試したわけではないので詳細は不明です。
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とじ針
下記のとじ針セットのうち、一番太いものを使用しました。
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ハサミ
割愛。毛糸が切れればなんでもいいです。
段数マーカー
前にも書きましたが、糸を1本残してカットし、カットした糸を残りの糸に縫い刺しておけば糸始末要らず、という猪谷さん式より、一般的な糸始末の方が仕上がりがきれいだと思います。
段数マーカーは、編み始めてからゴム編みが軌道に乗りだした頃(3~4段編んだ後?)~かかと編み終わりまでは一の針の1目めにつけておき、かかとが終わった時点で、かかとの最後の方の位置の針の一の針1目めに移動させておくと、どの針が一の針なのかが一目でわかるので便利だと思います。
マジックループやクレイジートリオだとすぐに編み始め位置がわかりますが、4本針だと「あれ? 今どこ?」現象がちょいちょい起こります。
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暮しの手帖のコピー推奨
著作権上、私的コピーだったらセーフだったかと思うのでお勧めしますが(違ったら教えてください)、62~63ページの、表①~⑤が載っているところはコピーしておき、本文と併せながら読んでいくことをお勧めします。
暮しの手帖の本文では足の長さが218mmの人用の、現代人の感覚からいうと小さめの靴下を、6号の「柔ラカク編ム時」のレシピで説明しています(表①~⑤に、該当の長さや目数などが灰色編み掛けされていますね)。
現代人でそこまで足の小さい大人もなかなか少ないでしょうから、大半の人は本文と表を行ったり来たりしながらご自分のサイズを編むことになりそうですが、なんせ表①~⑤まであるのでえらい複雑で、わたしは1足目を編む際にそれだけで心が折れそうでした。実用・保存用・布教用のために同じ号を3冊揃えようかと思ったくらいです。
であるならば、表をコピーしておき、ご自分のサイズのところにマーカーなり丸をつけるなりしていった方が、ミスが防げるしストレスも減ると思います。
製造業だとミスを防ぐために、確認しやすくするとか、作業を簡単にするとかというのでミスを防いだりしますが、まさにアレです(製造業にしかわからない話)。
極細毛糸について
もしかしたら、別途極細毛糸を用意する必要すらないかもしれません。
極細毛糸を入れて編むところを、普通の中細毛糸にしても、あまり履き心地に変化はないような気がします。
また、わたしは極細毛糸としてパピー 2PLYを用意しましたが、この毛糸が2本集まっても到底中細毛糸1本の太さには及ばないので、もしかして3PLYの方でも良かったかもしれません。
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サイズの大きい靴下を細めの針で編みたい場合
まさにわたしがこれに該当します。
わたしの足のサイズは25.5cmなのですが、5号針のレシピだと表①に足の長さ255mmのレシピがない! 目数が書いてない!
ここからはわたしの推測で恐縮なのですが、足の長さ250~260mmの靴下を編む場合は、表①の部分だけどうにかすれば、表⑤は全体目数が48目のパターンまで載っているので、どうにかなると思います。
さて表①について、具体的には第五欄が足りていません。以下、5本針の場合について考察しました。
- 1項めの目数にうちて、足の長さについて、239mmで44目、244mmで45目なのであれば、以降の250mmは恐らく46目でしょうし、255mmは47目でないかと推察しました。
実際、わたしも255mmの靴下を47目で編み、まあしっくりきています。 - 2項めにつま先の減らし目のパターンが記載されていますが、足の長さ255mmの場合、45目のパターンで編んだらうまくいきました。
- 3項目はもうヤマ勘で、前のサイズから4mmくらいずつ足していけばいいんじゃないですかね?
また、足の長さ266mmを超えるサイズの靴下を編みたい場合は、そもそも表①以外に関しても足りていません。
- 表①は上記の考え方でなんとなく補えばいいと思います。
- 表②はもうヤマ勘です。
- 表③と表④はサイズ感には直接関係ないので割愛。
- 表⑤は端から順番に見ていくと、なんとなく法則性に気付くので、その通りにすればいいと思います。ないところはヤマ勘です。
迷ったら片足だけでも編んでみて、違うと思えば次から変えればいいんじゃないでしょうか。
尚、上記でうまくいかなかった場合についても責任は負えませんのでご了承ください。
それにしても、きっと猪谷さんの時代の一般の方は、今のわたしたちよりもずっと足が小さかったのでしょうね。でなければ、表に書かれている一番大きなサイズが足の長さ270mmになるはずないもの。
ましてや足の長さ255mmの女なんて想像もつかなかったでしょうね!
履き口の編み始めをきれいにする方法と作り目の数
輪の作り目をする場合、必要な目数より1目多く作っておいて、最後の1目と最初の1目を2目一度で編むと、端が少しきれいになるような気がするのでおすすめです。
具体的な作業としては、
- 必要な数より1目多く作り目した後、目を3本の針に分ける。1目多く作り目した目は、3本目の針に持ってくる。
- 一の針の一目めを編む前に、三の針から最後の目を移し、この二目で左上二目一度。
となります。
全体目数が奇数だった場合の1目ゴム編みの対応
これには2つの対応方法があると思います。
その1 適当な数のゴム編みにする
例えば目数が3の倍数なのであれば、表2目、裏1目のゴム編みにすればよいと思います。
その2 ゴム編みの部分だけ目を増やすor減らす
目数が3の倍数であれば大体上記で対応可能でしょうが、目数が3の倍数でなかった場合はもうお手上げです。
わたしは一回全体目数47目を体験しました。まさかの素数……!
タイトルでは「ゴム編みの部分だけ目を増やすor減らす」と書きましたが、後工程の関係上、1目減らした方が簡単だと思います。
以下、47目の場合で1目減らすパターンについてご説明します。
- まず46目で作り目をします(前項「履き口の編み始めをきれいにする方法と作り目の数の方式を採用する場合、47目作り目、最初と最後の目を二目一度して46目に減らす)。
- 作り目を3本の針に分ける際に、一の針または三の針の目を所定の目数から1目減らすように目を分けます。ここでは、一の針で所定の目数より1目少なくなるようにしたと思ってください。
- 所定の長さまで1目ゴム編みをしたら、次の段はメリヤス編みで、本来は一の針と三の針で1目ずつ減らし目があります。が、今回は一の針の目は既に1目少ないので、三の針でのみ、所定の位置での減らし目をします。この時点で、本来意図した目数になっているはずです。
これで、大方問題なく処理できるかと思います。
59ページ 作り目の糸端の後始末をしなくて良い方法
これは解読したものの、よくわからなかったものの一つです。
が、なんとなくやってみた感じだと、編み上がった後に普通にとじ針で糸始末した方が、きれいな仕上がりになると思いました。
普通が一番です。
減らし目と増やし目のやり方について
暮しの手帖の本文では、つま先以外の増やし目や減らし目のやり方(左上二目一度とか右上二目一度とか)を左右対称にしているわけではありません。
よくある靴下編みやセーターの作り方では、例えば編地の右側だと右上二目一度、左側だと左上二目一度にしましょうとかいうのがあると思うのですが、この靴下の編み方に関しては、そういう方向性での配慮はありません。
が、それはそれでいいと思います。
目が大きいというのもあってか、右上でやろうが左上でやろうが、どっちでやったのかぱっと見わからないというか、なんでか目立たないんですよね。
もちろん気にされる方は左右で増やし方・減らし方を変えればいいと思うのですが、わたしはぱっと見わからないことをいいことに、つま先以外は左目二目一度、左増し目で編んでいます。
かかとの一の針と二の針の間にできる穴
これはもうしょうがないので、編み終わった後に、周りの毛糸を少しずつ引っ張って穴を埋めていく方法が一番いいように思いました。
幸いにして、かっちりした靴下なので、穴が埋まった状態で固定されてくれます。
両端を1回だけすくうメリヤス止め
わたしはこの手の、一目ゴム止めや二目ゴム止めなどの針の動かし方を、ゲームの矢印(コマンド)になぞらえて簡略化していくのが一番楽ではないかと思うので、もうそれを書きます。わからない人はわからないと思うし、わかる人はわかる。
前提として、一番右にとじ針のついた糸端があって、編地がその左側にあるとします。
手前側の一番右の目を表1、そのすぐ左の目を表2。
奥側の一番右の目を裏1、そのすぐ左の目を裏2とします。
- 表1:↗ 目を外す
- 表2:←
- 裏1:← 目を外す
- 裏2:↗
この繰り返しです。
1回目で表1と裏1の目を外しているので、次は元の表2と裏2が表1と裏1、表3と裏3が表2と裏2になり……みたいな感じでどんどん左にずれていきます。
もし、「わからないよ!」というコメントがあった場合、もう少し詳しく説明しようと思いますので、よくわからない方はこの記事にコメントいただくか、インスタにDMをください。
おわりに
最初から最後まで通読してくださった方はいらっしゃるのでしょうか。
後半部分だけお読みいただいただけでも、そこそこボリュームがあったと思います。お付き合いいただきありがとうございました。
何か気になる点などありましたら、コメントかInstagramのDMにてご一報いただければと思います。
ご覧いただきありがとうございました。
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